独立だ! 起業だ! 自由だ! と言う前に考えること (第43話 学食)

スカイダイビングでパラシュートが開く前の人

― 省吾は自分の可能性を求めて、自分らしい自由が何か考えていた。しかし、「自由」というやつは考えれば出てくるようなものでもなかった。 ―

公務員試験の勉強をやめてからというもの、俺はむしろ時間を持て余すようになっていた。

この機会に、自分が本当にやりたいことを探そうと思ってあれこれ模索するが、そう簡単には見つからない。

結局、学食で同じサークルの連中や、俺と同じように時間が余っていそうな同級生達と話し込んだりすることも増えてきた。

中にはサークルや部活に入れ込みすぎて、単位を落とすやつも多い。

試験を受けても不合格の場合、成績表に「D」が付く。

A,B,Cの次のD、すなわち「不可」の意味である。

あるとき誰かが、Dを「ドラ」と読みはじめ、

「Dが7個集まればどんな願いも、たった一つも叶わないそうだ。」

そんなジョークで盛り上がる始末だ。

「すべてを捨てて、自由を選んだ・・・。」

こんなキザなセリフを吐いておきながら、俺はいっこうに「自由」を選べてはいなかった。

何かを「捨てた」ことには間違いなかったが・・・。

今分かっていることと言えば、この先自分が向かっていく先は、

公務員でもなく、就職でもなく、独立起業することになるだろう

くらいのものだ。

自分にとっての自由が何なのかは、まだ分からないままだ。

そして今日も、俺は学食で午後を過ごしている。

「ねえ、チカさんは将来どうするの?」

「まだ決めてない、とりあえず教職でもとっておこうかな。」

新歓シーズンで声をかけた、あのチカさんとは結局同じサークルに入ることになり、その後ちょくちょく話すようになっていた。

「それはいいね。でもチカさんの大学なら、外務省とか商社とか目指せるんじゃない?」

「どうだろう・・・」
「それより、省吾君こそキャリア官僚になれば?」

「なんかね、親もそう言うんだよ。でも、俺はもっと他の可能性に賭けたいって思ってね・・・。」

「へえー。なんか私もそっちかもな。」

「ハハハ、じゃあ俺たちエリートコースとは縁がなさそうだね。」

「そうかもねー。」

俺は笑いながらも、どこか焦りを感じていた。

つづく・・・

photo credit: MissMalaprop via photopin cc

あとがき

野望は大胆に、行動は慎重に!

自分のやりたいこと、そして自分らしい自由なライフを手に入れるために、

情熱は欠かせない要素です。

でもパッションに任せて、辞表を出すのはお勧めできません。

ビジネスを起こして軌道に乗せるのが大変なのは、統計でもはっきり出ています。

だからこそ、しかるべき準備をしてから羽ばたいて下さい。

起業というのは、人生の一大事ですが、別にドラマティックなものにする必要はないのです。

今のっている飛行機からパラシュートなしで、別の飛行機に飛び移るシーン等、スパイ映画だけの話だと思いますが、それと同じようなことをする人が現実世界にもかなりいます。

何の見通しも立たない状態で、今やっていることや、会社を辞めてしまうのは、まさにパラシュート無しのダイブと同じです。

会社の仕事を続けながら、最初は副業のようなレベルで自分のアイデアを試し、ファーストキャッシュをつかむまではテストを繰り返す、という泥臭い起業もあります。

その方が、生き残る可能性は各段に高く、失敗しても最小限のダメージで済むでしょう。

 起業のプロセスが泥臭くても、ダサくても、生き残ってビジネスを成長させている方がよほどカッコイイはずです。

仮に一年間収入が無い状態で生活が維持できる蓄えがあったとしても、それでもなお、ぎりぎり準備ができるまでは今の軸足を動かさないくらいで丁度です。

いつもお読み頂きありがとうございます!
※この物語は、実体験をもとにしたフィクションです。

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