勉強計画 勉強自体に専念するための考え方(第4話 新たな誓い)

― 試験で惨敗した省吾は、日々の勉強時間をどうにか管理していかなければいけないと考えた。帰りの電車の中で、勉強時間を記録する方法は思いついたが、そもそもの勉強計画がなければ、何をどう記録するかもわからないことに気づく。―

 

模試から1日明けて、昨日の焦燥感も多少和らいでいる。
窓辺で小鳥がざわめきだしたが、まだ外は暗い。

 

俺は、思いつくままにすべての教科書、参考書、問題集、今後の模試のスケジュールを机の上に並べ始めた。

「今日、今後1年の勉強計画を立ててしまおう。」

そう決意して、各科目をあと本試験までに最低2回やりきるのに必要な時間を計算してみた。そこから1日に必要な時間も割り出してみた。幸い、実行可能な時間内に収まっている。

 

一応、段階的に勉強時間が増えていくような配慮だけはした。いきなりハードルをあげてもやはり続かないと思ったからだ。

 

さて、胸ポケットの紙に書く内容が決まった。
各科目ごとに、ルーズリーフの1行を割り当て、1日の勉強時間を書き、その隣は空欄にしておいて、勉強した時間数をメモしていけるようにした。あとは、日々この時間数を消化していけばいい。

 

記録を残しておけば、今日はどのくらい勉強したかな?という部分があいまいにならずに済む。それに、スキマ時間の勉強もちゃんとカウントできるようになった。

「あとは、日々の達成度の管理をどうするかな・・・」

 

気がつけば、外は明るくなっていた。

「朝ごはんだよ。降りてきなさーい。」と階下から声が聞こえる。俺は返事をすると、一旦机を離れて階段を下りた。

 

側によってきた飼犬のロッキーにいつも通り鮭の皮を与えながら、さっきのことを考えていた。
「よし、管理の手間も省こう。」

 

・日々何時間勉強したか?

・今月は何時間勉強できていたか?

なんてことは、後で見直す必要はないことに気づいた。見直すのは、自分の弱点箇所だけでいい。

 

もし、1日のノルマがこなせないときでも、次の日になれば紙はリセットされる仕組みにした。

 

昨日のことは今日に持ち越さないことにしたわけだ。今日は今日で、全力で今日のノルマをこなすしかない。昨日1日、勉強ができなかったとしたら、ぶっちゃけ、もうその時間を取り戻すことは出来ない。だから今日は今日の時間を生きるべきだと思ったからだ。

 

少なくとも、記録も管理も1日の範囲内でなら出来る。それで十分だろう。あとはその日が終わるまで、どうにかこうにか、ノルマをやりきるだけだ。それを毎日続ければ、日々の勉強時間の管理など不要になると考えた。

結局、試験を目標にした勉強というものは、その試験日までに、行けるところまで行く。やれるだけやる。タダそれだけのことに過ぎない。

 

また、本来、計画は立てただけでは意味がない。

その後、計画とのズレを定期的に見ていく必要があるのはわかっていた。しかし、その機能は今後何回かある模試で代用できるはずだとも考えた。

計画の定期的な見直しという管理タスクすら、自動化してしまおうという腹だった。立ち止まって管理ばかりしても、前に行く力がそがれるだけだ。

 

こうして、俺の勉強管理システムが出来上がった。

 

朝食を済ませると、俺はまた2階に戻って机の上を整理し、新しいルーズリーフを4つ折りにして今日の計画を書いた。そして休みだというのにYシャツに着替え、折りたたんだ紙を胸ポケットにしまった。

俺は今日から毎日、この胸ポケットの紙に書いたとおりの勉強時間を積み重ねて行く!

昨日探していた誓いを、ようやく言葉にすることが出来た。

 

つづく・・・

 

あとがき

いい計画は、シンプルで、かつ、今何をすればいいか簡単にわかるものではないでしょうか?
そして、計画がしっかりしているほど、今やるべきことが、ゴールに向けてどういう意味を持っているのかよくわかるものだと思います。

 

いつもお読み頂きありがとうございます!
※この物語は、実体験をもとにしたフィクションです。

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