― 高校2年の夏が過ぎ、省吾は受験勉強にかける時間を増やしつつあった。今まで英語ばかりやっていた省吾だが、その他の科目を本格的に進めるにつれ、あることが明らかになっていった。 ―
高校1年の最後まで、勉強と言えば英語ばかりやっていた。
どうしても、英検1級に受かりたかったというのもあるが、そのせいで他の科目はひどい状態だ。
本気で大学を目指すなら、英語だけ出来てもだめだ。そろそろ全般的に受験勉強を始めなければ・・・
そう思いながらも、春休みは映画ばかり見ていた。
ようやく、国語や数学といったその他の主要教科に時間を割き始めたのは夏休みに入った頃だ。
都合、1年くらい遅れている勉強を取り戻すのは至難の業に違いない。
そう思ってここ2ヶ月くらい、新しい分野に取り組んでいるが、だんだん興味深いことが分かってきた。
どうやら、今まで英語ばかりやってきたのも無駄ではなかったようだ。
英語だけはもう受験のレベルをクリアしているので、その分の時間を他の勉強に使えるという話ではない。
英語を勉強する「方法」は他の勉強にも通じているらしい。
・全体を把握する
・流れを理解する
・苦手なところを見つける、克服する
・効率よく記憶する
・記憶を長く定着させる
・やる気の無いときにも、どうにか工夫して前に進む
そんなことがすべて、他の勉強を進める場合も役に立つ。
一度クリアしたゲームをやり直すような、そんな効率の良さがあるようだ。
何か一つを尖らせることに集中すれば、その一つを最短経路で極めることができる。
しかし、1点集中のメリットはそれだけではなかった。
二つ目を尖らせる時にも、その方法論が役に立つのだ。
「これなら巻き返せるかもしれない。」
だんだんと、そう思えるようになってきた。
つづく・・・
photo credit: DaveWilsonPhotography via photopin cc
あとがき
一つの領域を極めれば、そのやり方は必ず別の何かを成し遂げる時にも役立ちます。
特に、論理的な問題解決や、目標達成のためのアプローチなどは、対象が変わっても共通することが多いと思います。
例えば、現状を分析して、仮説を立て、実験・実行し、検証して、改善や調整をするといったサイクルは様々な事業活動で活用可能です。
そして、二つ目の領域を同様に高めることが出来れば、そのやり方は本物だったということもわかります。
そのやり方には再現性があるということになるからです。
遠回りなようでも、何かに一点集中して周りの誰よりも高いレベルに到達できれば、きっとあなたの強みとして、ビジネスの突破口になるはずです。
あなたならではの、再現性のある方法論を作り上げて下さい!
いつもお読み頂きありがとうございます!
※この物語は、実体験をもとにしたフィクションです。
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