今回は、印刷会社の社長さんになったつもりで読んでみてください。
[状況]
今ある印刷機は老朽化も問題だし、生産能力を考えても、そろそろ新しい設備を入れる時期かもしれない。
新しい設備を導入すればランニングコストも下がり、より多くの受注に対応できる。
しかし、今後の需要動向は気になるところ。
最近、印刷物の需要は高まっているが、今後もこの傾向は続くのだろうか?
あるいはペーパーレス化の流れが、今度こそ本格的に始まるのか?
新しい設備をいれても需要が伸びなければ、投資が無駄になってしまわないだろうか?
こんな悩みを抱えたとき、
あなたなら、まず何から始めますか?
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表を書く
そんなとき、手始めに出来るのは簡単な表を書くことです。
*分析対象を細分化するときのコツは、「もれなく」、「重複無く」です。
設備に投資するかしないかの2通りと、需要が拡大するかどうか(今後のマーケット動向)の2通りで計4通りにわけることができました。
反時計回りに、1から4のケースをみていくと
1:あたれば最高
2:生産力過剰。コストは下がる。
3:現状維持。設備老朽化の心配が残る。
4:最悪の選択肢
と解釈できます。
早速ですが、4の選択を選んではいけないということが分かります。
今具体的に検討出来る部分に絞って考える
よほど大きな会社でないと、マーケットリサーチをかけるような余裕はありません。
しかし、マーケット動向が勘便りだとしても、経営判断はしなくてはいけません。
決めても、決めなくても、結果は社長の責任です。
そうなると、この時点で検討出来るのは2,3の状況を比べる方向です。
ここに突破口を見いだせるかに絞って考えます。
※実はそもそもマーケット動向という、頑張っても正確な情報を入手できないことを悩みの種に入れていたことが間違いのもとでもあるのですが、そんなことも表を書いてみると気づいたりします。
この段階で考えるのは、マーケットが伸びるか伸びないかの調査無しに答えが出せないか?ということになります。
選択肢4は選びたくない、ということが分かっているので、あと選択肢3を消去できれば「設備投資する」方向だけが残ります。
選択肢3(現状維持)より、選択肢2(需要が伸びなくても設備投資する)の方がよい選択肢だと言うためにはどんな条件が必要でしょうか?
具体的な行動に落とし込む
まず選択肢2には設備の性能によるコストダウンというメリットと、需要が伸びなかった場合の過剰投資懸念というデメリットがあります。
新しい設備は電力効率が良い、メンテナンスコストが安い等のコストダウン要因が期待できる反面、もし設備投資をしたときに、注文が増えなければ投資額の回収が難しいということです。
逆に選択肢3は現状維持とは言うものの、設備の老朽化や、需要が拡大したときに対応出来ないなどのリスクがあります。
現状維持を選んだ場合のプラス要因は、「新規の投資コストがかからない」だけで、後は設備老朽化などのリスク分だけマイナスの方面にしか行かないということです。
そうなると、あとは設備投資をした場合に需要が伸びなくても(選択肢2)、新設備によりコストカットできる金額で、投資をまかなうことができればOKということになります。
最悪でもトントンの結果が期待できて、さらに需要が増えたらチャンスを取りに行ける選択肢の方が、現状維持よりましだということが出来るからです。
どのみち、老朽化の問題は新設備を入れなければ解決出来ないし、故障した場合の機会損失なども計算にいれたら、社長としてはむしろ新設備を入れたい気持ちはあるでしょう。
ということで、後は新設備への投資資金をどう調達するか?という話になります。
もう設備投資をするかどうかの迷いではなくて、事業計画を作って金融機関から希望の条件で融資が受けられるか打診するという「次の具体的なステップ」に移ることができます。
まとめ
ビジネスをやっていく上で、すべての情報は手に入りません。
入るとしてもスピードの問題、費用の問題もあります。
より少ない資源で、相手を先んじるのが社長に求められる戦略だとするなら、限られた情報でも戦える枠組みを持っている必要があります。
その一番簡単な枠組みが、まさに「表を書く」スキルです。
簡単に見えて、問題をどうとらえ、どう切り分けていくかにすべてがかかるといっても過言ではない、奥の深い世界です。
しかし、正しくとらえることができれば、考える対象を適切な意味とサイズに細分化することができます。
最初は漠然とした悩みでも、小さくなってしまえば解決の糸口はつかめるようになります。
何か考え事があるなら、とりあえず表を書いてみてはいかがでしょうか?
ではまた!