新しい知識と技術を習得する時に一番注意すること (第23話 次の目標)

ストーリーでわかる自由の作り方

― 省吾は久々に、英語以外の科目に着手することにした。意気込んで、翌日の授業の予習を始めたまではいいのだが・・・ ―

 

「英検との戦いも、ようやく終わった・・・」

英検1級の合格通知が届いた日、俺はしばらく机に向かってその通知を眺めていた。

 

達成感という気持ちが一番かもしれない。

しかし、今まで追い求めていた目標が、もう目標ではなくなってしまった空虚感や、次の目標に向けての不安な気持ちもかなりある。

 

「そろそろ英語以外の勉強もしないと・・・。」

その他の教科は何かと追いつかないといけないところが多い。

 

「よし、明日の授業の予習をしてみるか!」

今まで学校の授業の予習など、やったことは無いが、やってダメなわけは無いだろうと考えた。

 

「まずは、化学からだ。」

俺は今までの遅れを取り戻そうと、明日の授業でやる部分を完全に予習していくことにした。

 

しかし、予習を始めたはいいものの、どうにもはじめて見ることばかりで中々進まない。

つらいと思う気持ちを押さえつけ、どうにか化学の予習をやり終えるころには、だいぶテンションが下がっていた。

 

「数学はさらっと確認しておけばいいかな・・・」

例題も、解けないものはどんどん飛ばした。

明日の授業の範囲の雰囲気だけはつかんだが、もうそれ以上やる気が起きないものはどうしようもない。

 

「予習とか、する意味あるのかな・・・」

もう今日は寝ることにした。

 

だが翌日、面白いことが起きた。

 

何とか気合で、細かいところまで予習していったはずの化学の授業は、どうにも頭に入ってこない。

それに対して、軽く流しただけの数学は、意外にもすっと理解できた。

 

適当に流し読みしたはずの数学の方が、予習の効果を感じることができたのだ。

 

「これはどういう訳だろう?」

photo credit: wolfgraebel via photopin cc

つづく・・・

 

あとがき

予習の極意は慣れることです。

これは学校の勉強だけに限った話ではありません。

 

新しい知識や技術を身につけたいときは、最初のステップに注意してください。

人間はなじみのない世界には警戒心を抱く生き物なので、最初の出会い方がまずいと、なかなかその印象が解けません。

 

たとえば、ひどい数学の先生に教わったせいで、一生数学が苦手になったという人もいるのではないでしょうか?

 

新しい情報に触れるときのコツは、「少しずつ」です。

細かいことにこだわらず、重要ポイントや、全体の流れなどをさっと確認する程度のスタートがいいと思います。

 

一回目で、マスターしよう、覚えよう、と力まずに、脳の拒絶反応を起こさないことを目指した方が、長い目で見ればうまくいきます。

 

新しい世界に触れるときには、まず、入り口にある一番低いハードルで転ばないことだけを目指してみてください。

 

いつもお読み頂きありがとうございます!
※この物語は、実体験をもとにしたフィクションです。

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