― 2月某日。省吾は大学受験を明日に控えていた。 ―
「とうとう明日だ。」
明日と、明後日の2日間で今までのすべてが試される。
朝、俺はいつも通りに起きると電車に乗り、いつも通り教科書を開いて復習を始めた。
もう何度も読んだ教科書だ。
これまで、やれるだけのことはやった。
もちろん、まだ解けない問題もあるし、本屋に行けばいくらでも新しい参考書があるだろう。
だが今避けるべきは、新たな混乱だ。
ここまで来てしまえば、もはやほとんど気力と体力だけの勝負になる。
戦う前から負けることなど、あってはならない。
午前中から試験会場の下見をしたあと、軽く炭水化物メインの食事で昼を済ませた。
それから街をぶらつき、適当なコンビニで入浴剤やら飲み物やらを買い、
早めにホテルにチェックインした。
俺は荷物を整理してから、もう少しだけ慣れ親しんだ参考書をざっと確認することにした。
「この参考書も、もう開くことはないだろうな。」
そう言いながら、願うような気持ちも混じった感慨深さで参考書を閉じると、俺は夕食のためにもう一度外に出た。
昼と同じように、軽い食事を済ませると、
ホテルに帰り、のんびりと風呂に浸かった。
風呂から出て、お気に入りのジャスミンティーをゆっくり飲みながら
俺はベッド脇の小さなイスで明日のことを考えていた。
つづく・・・
あとがき
大事な日の前日にやること・・・
それは何も特別なことではありません。
むしろ、普段通りが一番です。
例えば、明日のために栄養を付けるぞ!
などと、普段食べないような食事をとったりするのはお勧めできません。
そういうのは、もっと前からはじめて体力を付けておき、前日や当日は体に負担をかけずに熱量を確保するべきです。
また、慌てて新しいことに着手するのも避けた方がいいです。
前日の過ごし方は、裏を返せば
「計画当初から、それまでの過ごし方をどうするか」という問題でもあります。
前日までに全行程が終わるように、最初から計画しておくべきということです。
大事な日のために、その直前まで焦って何かをしなければならない状態になるのは、計画や準備に問題がある表れです。
そんな状態で当日出て行っても、あくせくして疲れ切っている人と、準備万端で落ち着き払っている人では勝負が目に見えています。
大事な日の前日にやってはいけないこと、それは「気力、体力を削ぐ」ことです。
一夜漬けで受かるような試験なら最後まで粘ればいいですが、大事な勝負なら、もう前日どうあがいても大勢に影響はないはずです。
今、既にある自分の力を、最大限発揮することに集中してください。
いつもお読み頂きありがとうございます!
※この物語は、実体験をもとにしたフィクションです。
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