経営者のための、経営戦略ドリル 「資金繰りに翻弄されない体制づくり」

勉強する男性 経営戦略

今日は、ある会社の社長になったつもりで考えてみて下さい。

 

あなたは最近、「資金ぐり」に気をもんでいます。

というのも、大口顧客のA社が、最近期日までに入金してくれないことが何度かあったからです。

 

あなたも、自社の納入業者への支払いや、銀行への返済をしなくてはいけません。

しかしA社からの入金が遅れるときは、いつもぎりぎり乗り切っている状態です。

特に銀行への返済が1日でも遅れたら、今後のビジネスへの影響は計り知れません。

 

こんな時、あなたはどんな策がとれるでしょうか?

「A社に電話して、再発防止をお願いする」以外の策を2,3挙げてみて下さい。

 

「社長、ご指示を!」

 

5つの策

必要な時に、差し引きぴったりでも、必要なだけのキャッシュがあれば、(たとえ、それが借金でも)会社はつぶれません。

 

その意味で考えるなら、取れる対策は、下記の5つが挙げられます。

1:A社の経理処理を徹底してもらう

とりあえずこれは外せません。もし、入金遅れに気づいてもすぐに連絡しない場合、あなたの会社は「多少遅れてもOK」のリストに入れられてしまいます。

 

2:仕入れ先との支払いサイトを伸ばしてもらう。

これは、仕入れ先から見れば不利な話なので、あなたが日頃どれだけ信用を築いているかが大きく関係してきます。

今まで一度も支払いが遅れたりした事実がなければ、10日程度でも、支払い期日に余裕をもった条件に変更してもらうよう、交渉してみても良いと思います。

ただし、あなたが資金的に苦しいから、と勘ぐられないような自然な流れは必要です。

「他の会社は10日支払いにまとめてもらっているので、支払い処理を統一して効率化するため」等の理由を考えておくと良いかもしれません。

 

3:一社の未入金であわてないような、売り上げ構成を作り上げる。

最初にこれを考えたあなたは流石です。まさに正論。

 

4:十分な運転資金がもてるような利益構造の商売をする。

これも正論です。

 

5:つなぎ資金をすぐ用意できる体制を作っておく。

どんなに用意周到な体制にも、バックアップは必要です。

 

ビジネスを立ち上げれば、ありとあらゆる選択肢が手に入ります。
手に入ると言うよりは、無限にある可能性のなかから、今最適だと思う選択肢を選び抜かなければいけない立場になるということです。

 

それぞれの策の意味

いずれにしても、数ある選択肢の中から、最適なものをあぶり出す、または不要なものを一気に消去するために大事なのは原理原則です。

 

そもそも論で言えば、大口顧客の未入金というのは、想定可能な事態です。

まずは、それを防ぐにはどうすればいいか?

そうを考えるなら、契約をする前に取引先の与信管理をしっかりするという策も浮かびます。

 

そんな体制がないなら、初期費用などの名目で一時的な未入金ならカバーできるような料金設定にしておくなどの手もあります。

可能なら、前払い、半金前払いなどの取引条件でお願いするというのも魅力的です。

 

そして、実際起きた場合はどうするか?

実際に、未入金が起きたとき、神頼みになるような状態なら、何とかしなければいけません。

 

A社に電話して催告をする、だけでは完全に後手に回っています。

そのままA社からの入金がない場合もありえます。そんな時、自分の支払期日が来ても滞りなく進むよう、事前に2重、3重の策をしいておくべきです。

そうでなければちょっとした不運が重なるだけで、黒字倒産してしまうこともあるからです。

 

それも、願わくば、毎月資金繰りのことを考えなくていいように、設計段階で資金繰りの安定が保証されている仕組みを作っておくのが最善であり、正論だと思います。

 

それが、策2~5の意味するところです。

 

まとめ

すべての策を講じてある場合は、

・A社の入金が数日遅れる

・自社の(仕入先への)支払いや返済は、10日後なので、催告して入金を待つ時間がある。

・それでも入ってこない。

・1社の入金がなくても、その他の売上げで、自社の支払いがまかなえる。あるいは、1ヶ月まるっきり入金がなくても、運転資金でカバーできる。

・不足の事態で、その資金が無い。

・つなぎ資金を手当てする用意があるので、取り急ぎ次の支払いはクリアできる。

 

といった流れで生き延びる可能性を高めることができます。

 

資金繰りの悩み、というのは、会社にとっては「緊急であり、重要な」案件です。

しかし、本来そんな案件は発生させないことが一番。

 

よほどおかしなことが起きない限り、資金繰りのことなど考えず業務に集中できる体制を目指して下さい。

 

ではまた!

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