勉強時間の記録方法 (第3話 4つ折りのルーズリーフ)

― 試験で惨敗した省吾は、帰りの電車で痛烈に変わる必要性を感じ、今すぐどうにか日々の規律を作り上げる方法を考えていた。そこで省吾が思いついた方法とは? ―

 

「そうか、今俺はハンカチをしまおうとするまで、ハンカチのことは何も考えていなかったな。」

無意識に手にしたハンカチ・・・ これを応用しよう。

 

俺は、ばかばかしいほど簡単な方法を思いついた。

今日勉強するべきこと、今日こなすべき勉強時間を4つ折にしたB5のルーズリーフに書いて、胸ポケットにいれておくというものだ。

 

これなら、いつでもハンカチのように携帯していて、簡単に記録できる。スキマ時間に英語を15分勉強したなら、その紙の英語の欄にさっと15と書いておけばいい。そこに書いた数字の合計が、自分が決めた時間数をクリアするまで、そうやって勉強に向かい合うだけだ。

 

今日からハンカチの代わりに胸ポケットには折りたたんだ紙を入れる。それが答えだった。

 

電車がトンネルを抜け、駅に着く前の大きなカーブに差し掛かると俺はドア横の手すりを強くつかんだ。

記録の仕組みはこれでいい。でも1日の勉強時間はどう決める?

 

毎日その日の予定を考えて、ノルマを設計するというのも面倒だ。とにかく、一番大事なことは記録管理の手間をかけずに、日々の規律を維持することだ。

「勉強というメインテーマに集中し、継続するためにこれだけは譲れない。」

俺には変な信念が芽生えていた。

考えてみるが、すぐに答えは出そうにない。電車はゆっくりと停車し、目の前のドアが開いた。

「明日1日かけて考えてみるか。」

そういいながら俺は電車を降りた。

 

つづく・・・

 

目次

あとがき

私が、4つ折のルーズリーフだけで日々の勉強時間を管理していたのは実話です。

 

何かを始めたら、最初の方針を覚えておき、一貫した姿勢を持つことが成功には欠かせないと思っています。

私は、「行動こそ価値だ」という考えで、見切り発車ばかりしていましたが、そんな中で色々なことを試し、自分の道を探し、ブレながらも生きてきた経験からそう思います。

 

前回は何を記録するかが大事だと言いましたが、何をどう記録するかは、計画次第で決まります。そして、その計画を作るときに一番大事なのは、基本思想です。大げさな言葉を使ってしまいましたが、今回の例で見ると簡単にわかります。

 

受験を控えた省吾は日々の勉強の管理方法を求めていました。そこで、日々の勉強内容を記録する必要があると気づきます。さらに、記録する内容を決めるには勉強計画が必要だということになりますが、

大元の基本思想は?

というと、もっとしっかり勉強する仕組みを作りたいということだったはずです。別に日々の記録や計画自体がやりたいたわけではありません。

 

だから、その基本思想である「もっとちゃんと毎日勉強できるようになりたい!」という根本的な目的と「面倒な手間は継続の邪魔になる」という信条に、計画が反していてはいけない、という事です。記録や管理の手間を極力かけないという省吾のこだわりは、この基本思想から導かれています。

 

計画や管理という部分をがんばりすぎると、本当に時間がかかってキリがありません。しかも、この辺の計画やら記録やらは、やり始めると楽しいことがあるので逆に注意が必要です。

 

理念や基本思想があり、戦略や計画があって、日々の記録があって、管理があり、改善がある。

これは勉強でも、仕事でも同じではないでしょうか?

 

いつもお読み頂きありがとうございます!
※この物語は、実体験をもとにしたフィクションです。

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