早速ですが問題です。
あなたは、ある温泉旅館の経営者だとします。
ある日、銀行から
「融資するから、多目的イベント施設を新設するか、客室を改装するかして、売り上げをテコ入れしたらどうか?」
との打診がありました。
・多目的イベント施設により、結婚式やイベントなどの売り上げを取ることができれば、今低迷している宿泊単価を補える。
・だが客室を豪華にすれば、客室単価を戻せるし、稼働率も上がる。
社長のあなたは悩む。
「これは大きな勝負だ。」
「しかし、当旅館の現状を考えれば、赤字転落ぎりぎりの状態。このまま何もしなければじり貧だ。」
「この融資は最後のチャンスかもしれない・・・」
あなたならどうしますか?
社長、ご決断を!
photo credit: Charlotte90T via photopin cc
そもそも
まず最初に大事なのは「考え方の方向性が合っているか?」 です。
銀行が提案してきた二択が、既に間違っているということもあり得ます。
「正しい答えは正しい質問から」です。
選択肢の中に、正しい答えが入っていなければ、どんなに頑張って選んでも、正解は得られません。
あなたは社長です。
すべての可能な選択肢を掘り起こし、そこから最善のものを選ぶのが仕事です。
銀行が提示してきたからといって、その選択肢から、
おとなしく「どちらにしようかな?」とやるのではいけません。
売り上げをいじる前に、費用を見てみる
企業の目的は利益の追求が基本です。
経営を改善するには、まず収支のバランスを見る必要があります。
数字を見て、現状を分析した上で、今一番大事なことは何かを探します。
例えば、問題は温泉給湯の費用が高すぎるという、
費用の問題が一番の原因だと分かるかもしれません。
今、他社から温泉の供給を受けているために、コストが高いのであれば、今回の融資でどうにか、自社源泉を取得する方法はないか、考えるところから始めるのも一つの選択肢です。
売り上げを増やすにはどんなルートがあるか?
さんざん費用の削減はやり尽くした上で、もう根本的に売り上げを増やす以外に身動きが取れない状態になっているのであれば、今度は次のステップにいきます。
・多目的イベント施設か?
・既存の客室改装か?
・あるいは、その他の売り上げ増加策があるか?
ここでも現状分析ありきです。
売り上げを増やすには、そもそもどういうルートがあるのか?
旅館なら、
・客数を増やす(客室稼働率を上げる)
・単価を上げる
・リピート率を上げる
の3つが要になります。
その中で、当旅館の状況はどうなっているのか?
A:客室の老朽化により、旅行代理店からも引き合いがないため、客数も少ない、単価も低いという状態なのか?
B:あるいは、料理など、客室とは別の強みがあるために、客数も単価もそこそこで、リピート率が高いという状態なのか?
Aの場合なら、客室の改装が急務となります。多目的イベント施設運営といった、新たなノウハウが必要なジャンルに手を出してうまくいかなければ、元も子もなくなるからです。
Aの状態で、客室を改装しないという選択をするなら、それは、もはや業態の変更を意味します。
当旅館は今後、結婚式やイベントをメインの事業としてやっていく、というような覚悟が必要です。
Bの場合、今の客層を大事にしていれば、旅館運営の基盤は何とかなるでしょう。
グルメ好きの客が楽しめるようなイベントを企画することで、既存の客層が興味を持ってくれると考えるなら、多目的施設への投資も出口が見えてきます。
さらに客室は年々老朽化していくので、大改装とは言わずとも、リフォーム程度の手直しをする資金は取っておく、という合わせ技も考えたいところです。
もちろん、AやB以外にも、様々なパターンがあります。
世の中には、「売り上UPを謳う」ソリューションがいくらも転がっていますが、大事なのは、
なぜ、その策が大事なのか?
なぜ、今それをやるのか?
を言えることです。
どれか一つを選ばなくてもいい
何か一発ですべて解決する、という策はなかなかありません。
現状をよく観察して、複合的に解決策を練っていくのも社長の仕事です。
いずれにしても、現状を分析する。
これが経営戦略の第一歩です。
ではまた!
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