正しい努力とは何か?  (第44話 タッチタイピングの肝)

キーボードとミニチュアの冒険家

― 省吾は大学1年の夏休みに、はじめて自分のパソコンを手に入れた。学校に提出するレポートを作るだけでなく、自分でビジネスを起こすためのツールとして欠かせないと考えたからだ。 しかし、一つ問題があることに気づいた。 ―

 

同級生が紹介してくれたプロバイダの回線はまだ開通していない。

しかし新しいパソコンを何かしら使いたくて、まず学校の課題レポートを作ってみようと思ったが、キーボードで字を書くというのは意外に骨が折れる作業だ。

 

キーボードで文字を探していると、何か考えが浮かんでも全く手が追いついてこない。

これではアイデアが逃げてしまうと思い、紙に完璧な下書きをしてから、それをまた時間をかけてパソコンに打ち込む、というようなことになった。

 

確かに、最後はきれいなものが出来上がるが、原稿とパソコン画面を見比べながら、さらにキーボードにも目をやりながらの作業は非常に疲れる。

 

これでは話にならない。

今後パソコンを使いこなしていくには、タッチタイピングを習得するしかないと気づいた。

 

そこで、まずはキーボードの配列を暗記してみようと考えた。

数日して、アルファベットの並びをすべて覚えてみたものの、いざ手元を見ないで文字を打とうとすると、どうも何かが違うようだ。

 

結局頭の中で、目的のキーの位置を思い出しながら打ち込んでいくので、対してスピードアップには繋がらなかった。

目で見てキーを探すか、頭の中でキーを探すかの違いでしかないのかもしれない。

しかも、タッチタイピングを極めるには指使いについても訓練が必要だ。

 

自己流の練習に限界を感じた俺は、タッチタイピングの良い練習ソフトがあることを聞きつけて、早速インストールしてみた。

MikaType(ミカタイプ)というフリーソフトだ。

 

指使いの基本は理解したが、それでもやはり手元を見ながらでないと正確に打っていくのは難しい。

適当な勘でタイピングしようとすると、必ず途中でめちゃくちゃな文字をタイプしてしまうので、それを避けようとしてやはり手元を確認してしまう。

 

そんなことをしばらくやっていたが、いっこうに上達する気配がない。

「これはどうしたものか・・・?」

 

俺はタッチタイピングの練習に嫌気がさしてきた。

ある日、またソフトを立ち上げて練習メニューを開始するも、やはり複雑な箇所になると手元に目が行ってしまう。

「ああ、まただ。もう目も疲れたし、肩も疲れた・・・」

 

俺はちょっとやけになって、分からないところがあっても、いちいちキーボードに目をやるのをやめた。

もう適当に打ちっ放しでいいことにした。

 

しかし、それがきっかけだった。

視線は画面だけをみて、どんなに間違えてもひたすら打ち続けていくことで、だんだんと手の方がパターンを覚えるようになってきたのだ。

 

やっていくほどに、思ったことをキーを見ないで文字に出来るようになっていく。

2週間もすると、もう変な記号が出てこない限り、問題無くタッチタイピング出来るようになった。

 

しかも面白いことに、タッチタイピングが上達するにつれて、暗記していたキーボード配列は頭で思い出すことが無くなっていった。

要するに、いくらやっても習得出来なかったのは、やり方というか、努力の方向が違っていたわけだ。

 

つづく・・・

 

目次

あとがき

タッチタイピング習得を成功させるコツは、練習中キーボードを見ないことに尽きると思います。

 

同様に、どんなものでも成功のためには、「ここは押さえるべき」という「」となる部分を見極めることが大切です。

 

私は日頃から、努力は大事だが、努力の「仕方」や「方向性」がもっと大事だと考えています。

その仕方や、方向性って結局何?

の答えが、「核」の部分です。

 

核となる部分を見極められずにどんなに努力を重ねていても、ゴールから遠ざかることすらあります。

 

今何か取り組んでいることがあれば、その達成のための、「核」となる要素は何か?

是非考えてみて下さい!

 

いつもお読み頂きありがとうございます!
※この物語は、実体験をもとにしたフィクションです。

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この記事を書いた人

田畑ゼミ主催者。

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